久しぶりに良く晴れた夏の休日、敦賀半島の突端にある高速増殖炉「もんじゅ」に行ってきた。とはいえ一般人はもんじゅそのものを見ることはできないので、その手前の「MCスクエア」という建物で展示物の見学&お勉強。人がほとんどいなかったせいもあって、急ぎ足ながら職員(研究員?)の方から直接説明を受けることができた。
それまで「高速増殖炉」という名称や「消費した以上の燃料を製造」とかいう謳い文句から、何となくアヤシいものを想像してしまっていたのだが、コンセプトとしては非常に明快なものだということが分かった。私が理解したところによればこんな感じだ:
そのまま燃やせる乾いた薪と、そのままでは燃やせない湿気った薪がある。 数は湿気った薪の方が圧倒的に多いので、捨ててしまうのはもったいない。 そこで乾いた薪を燃やして水を沸かすときに、周りに湿気った薪を並べておいて、 ついでに乾かすことにしよう。
例えは私が考えたものだが、そこまで外してはいないと思う。つまり乾いた薪=U235,Pu、湿気った薪=U238、乾いた薪を燃やしながら湿気った薪を乾かす=U235やPuで発電しながら、発生する中性子でU238をPuに変換する。消費した以上の燃料を生み出すというのは、10本燃やす間に11〜12本くらい乾かすことができる、という程度の意味。摩訶不思議なプロセスで燃料が”増殖”するわけではない。
あと熱の運搬に「液体ナトリウム」という、日常的感覚からはかけ離れつつも基礎的な化学知識で危険性が理解できる代物を使わなければいけない、という点がすごく不安だったのだが、実は運用上優位な点もいろいろとあるらしい。沸点が高いので常圧のまま運用できるとか、熱伝導率が高いので発電効率も高いとか、金属との相性が良いので配管の腐食が起こりにくいとか……。しかしそれでも事故が起こったのは事実なわけで、やはりナトリウムの扱いが一番難しいところなのでしょうか?と尋ねたところ、「様々な困難を克服して今がある」というような回答が返ってきた。また「ナトリウム漏れは、技術屋的には『ああ漏れたか』という程度の話だ」とも。……ここからは完全に私の想像なのだが、おそらく現場の研究員としてはナトリウム漏れ事故も「ナトリウムが漏れた、ではどうしよう、温度計が原因だから温度計を改良しよう」とかいう通常の技術的課題という認識でしかなく、「ナトリウムが漏れた、ではもう駄目だ失敗だ」的な世間の反応がもどかしいのではないだろうか。
もちろん技術的に可能だからといって、無限に税金を投入し続けて良いという話にはならない。本当に割に合うのかという議論は必要だ。また周囲の住民からすれば、何をどう説明されたところでそう簡単に割り切れるものではないだろう。しかしともすれば得体の知れない巨大事業と見られがちな高速増殖炉事業も、その裏側には確実に人間の営みが存在する。それをはっきりと感じ取ることができたのが収穫だった。
……
敦賀半島には海水浴場がたくさんあり、もんじゅへ向かう途中の道のりでも浜辺を埋め尽くす大勢の海水浴客を見ることができた。しかし半島の先端にあるもんじゅに近付くにつれて人も車も少なくなり、MCスクエアの駐車場は閑散としていた。皆もっともんじゅについて知るべき!と思った。

